もう何年も前、北海道で出会った知的な感じがするおばさんと話したときのこと。彼女は何の気なしに近くに来た鳥を見て、「あ、キレイなセキレイ」と言いました。時々見かけるその鳥の名前がセキレイであると初めて知ったと同時に、ああ、僕も鳥の名前を覚えたい、鳥だけでなく花や木や草の名前をたくさん知っていたい、と思いました。

名前を知ることによってどうなるかというと、まず短期的に、もう少しグレードの高い独り言を言えるようになります。長期的には、A・C・クラーク著『90億の神の御名』に書いてある通り。