いつも夢を見ても覚えていないのに、先日見た夢はなぜか覚えている。

橋の向こう岸の歩道におじいちゃんと、車イスに乗ったおばあちゃんがいる。二人とも笑っている。そのような歩道は家の近所に存在しないし、おばあちゃんは車イスなど使わなかった。

おばあちゃんはもうすぐ死んでしまうことが決まっていて、夢の中の僕は泣いていた。でも本当におばあちゃんが死んだ時は泣かなかった。おじいちゃんの時も、お父さんの時も泣かなかった。

僕は冷たい人間ではない。熱い男でもない。ただ常に外気温と同じ温度でありたい。