minolta P's
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リハビリの施術に慣れた頃、医師はぼくの左足をぐるり見回して、あらためて言う。
「君の足は扁平足気味だ。歩行時は着地の衝撃に気をつけろ」
一連のケガの治療の中、思いも寄らない方向から不意を突いてくる、あまりに衝撃的な医師の宣告。
「君は扁平足だ」
ああ、ぼくは、扁平足の男であったのか。今後、ぼくの人生の、あまたある歩行機会において、着地の衝撃に気をつけねばならないのだ。
膝の傷はいずれ癒えようとも、足のアーチに刻み込まれた扁平な十字架は消えないのだ。